魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『うがー!』
『ちょっと、やめなってば!』
少女は意外な力強さで背中のリュックにへばりつき、離れようとしない。しばらくそうして押し引きを繰り返していたが、無尽蔵な子どもの体力には敵わず、メレーナさんは根負けしたようにしゃがみこむと、森の外を指差し尋ねた。
『着いてきたいってのかい?』
「う!」
「あのねぇ。外は危ないし、それにこことは暮らし方が全然違うんだ。あんたみたいな子どもじゃ、あっという間に野垂れ死んじまうかもしれないよ?」
こちらの言葉を理解したように頷く少女に対し、メレーナさんは厳しく諭した。しかしそれでも彼女はじっとこちらの顔を見つめ、頼み込むようにぎゅっと抱きついてきた。
駆け出しの魔女に、こんな小さな子供を養う余裕などあるわけがない。だが……それでもなぜか少女を見捨てる気にはなれないのは、こちらが大人になり切れていないせいなのか。
まるでその、星がさざめく夜空のような瞳に魅入られたように……しばらくすると、へたり込んでいたメレーナさんは首を前にがくりと折った。
『……分かった。連れて行ってやるよ、外の世界に。でも、そこで何があったってあたしゃ責任を持たないからね。ったく……!』
『ちょっと、やめなってば!』
少女は意外な力強さで背中のリュックにへばりつき、離れようとしない。しばらくそうして押し引きを繰り返していたが、無尽蔵な子どもの体力には敵わず、メレーナさんは根負けしたようにしゃがみこむと、森の外を指差し尋ねた。
『着いてきたいってのかい?』
「う!」
「あのねぇ。外は危ないし、それにこことは暮らし方が全然違うんだ。あんたみたいな子どもじゃ、あっという間に野垂れ死んじまうかもしれないよ?」
こちらの言葉を理解したように頷く少女に対し、メレーナさんは厳しく諭した。しかしそれでも彼女はじっとこちらの顔を見つめ、頼み込むようにぎゅっと抱きついてきた。
駆け出しの魔女に、こんな小さな子供を養う余裕などあるわけがない。だが……それでもなぜか少女を見捨てる気にはなれないのは、こちらが大人になり切れていないせいなのか。
まるでその、星がさざめく夜空のような瞳に魅入られたように……しばらくすると、へたり込んでいたメレーナさんは首を前にがくりと折った。
『……分かった。連れて行ってやるよ、外の世界に。でも、そこで何があったってあたしゃ責任を持たないからね。ったく……!』