魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「お母さんは私を生んだ時に、命を落としてしまったんです。きっとお腹にいる私を守ろうと、無理をして……」

 彼女の他にもたくさんの人たちが、母との再会を願っていたはずだ。なのに……心ならずもそれを二度と叶わないようにしてしまった私が、メレーナさんにどんな顔を向けたらいいというのか。恨みをぶつけられても仕方ない……そんな覚悟で彼女の反応をただ待つ。

「バカ言いなさんな」

 だが、それでも……私の頭の上にそっと置かれたのは、柔らかく包み込むかのような温かい手のひらだった。それがゆっくりと、私の頭頂部をかき回す。

「マルグリットが誰かと結ばれたのも、あんたを生んだのも、全部あの子の選択の結果だ。あんたが背負う罪なんか、どこにもあるもんか。あたしの知るマルグリットだったら、そんなことは望まないよ。絶対に……」

 そして、彼女は椅子に座る私の正面に屈むと、ぐっと私を引き寄せ抱きしめてくれる。

「ふふ、やっぱり親子なんだねぇ。似てないようでいて、髪の毛のくせとか、そうやって話す時、人を真っ直ぐ見つめるとことか、すっごくよく似てるんだ」
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