魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「……憎くは、思わないんですか? 私のこと……」
心の中の申し訳なさから、つい自分を責める言葉を求めてしまった私に対しても、メレーナさんは優しい表情で微かに首を横に振っただけだった。
「そりゃ、あの子のことは残念さ。二度と会えないことはとても寂しい。でもね……。それ以上に、今はあんたがこうして会いに来てくれたことが嬉しいんだよ。……あの子はたくさんの人を助け、自分のやるべきことを成して逝ったんだろ? そして今、あんたもあんたで、今一生懸命自分の幸せを掴もうとしてる。それだけで、十分じゃないのかい?」
彼女の手が慈しむように私の背中を撫でる。こんなことが、昔メレーナさんとお母さんの間にもあったのかもしれないと、そんなことを思う。
「スレイバートから連絡が来た時、あたしはずいぶんと迷っちまった。マルグリットと血の繋がりすらないあたしが、あの子の過去を誰かに語ることが許されるのか……なんてね。それにあの子はあたしのことなんて、当の昔に忘れてんじゃないかとも思ってたし、最初は会うだけ会ってきっちり断ろうと思ってたんだ。でも、ここに来たスレイバートが何度も必死に頼み込むのを見て、よっぽどあんたが母親のことを知りたがってるんだろうな、って思うとね」
心の中の申し訳なさから、つい自分を責める言葉を求めてしまった私に対しても、メレーナさんは優しい表情で微かに首を横に振っただけだった。
「そりゃ、あの子のことは残念さ。二度と会えないことはとても寂しい。でもね……。それ以上に、今はあんたがこうして会いに来てくれたことが嬉しいんだよ。……あの子はたくさんの人を助け、自分のやるべきことを成して逝ったんだろ? そして今、あんたもあんたで、今一生懸命自分の幸せを掴もうとしてる。それだけで、十分じゃないのかい?」
彼女の手が慈しむように私の背中を撫でる。こんなことが、昔メレーナさんとお母さんの間にもあったのかもしれないと、そんなことを思う。
「スレイバートから連絡が来た時、あたしはずいぶんと迷っちまった。マルグリットと血の繋がりすらないあたしが、あの子の過去を誰かに語ることが許されるのか……なんてね。それにあの子はあたしのことなんて、当の昔に忘れてんじゃないかとも思ってたし、最初は会うだけ会ってきっちり断ろうと思ってたんだ。でも、ここに来たスレイバートが何度も必死に頼み込むのを見て、よっぽどあんたが母親のことを知りたがってるんだろうな、って思うとね」