魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
15.導きのままに -map-
出立の朝。孤児院の前には子どもたちを含む全員が集まり、私たちを見送ってくれている。
その最前列に顔を見せているメレーナさんが、スレイバート様と握手を交わした。
「本当にいいのかい? 子どもたちのためとはいえ、ゲルシュトナー領の人間でもないあんたに、あんな大金融通してもらっちまって」
「ああ。色々扱き使われたが……あんたがいなきゃ、大事なことが分からないままだったからな。俺もこいつも、感謝してる」
話をする条件として付きつけられた多額の寄付は、元々こちら側の本気度を測るための出まかせだったらしい。けれど結局、スレイバート様は彼女が返そうとしたお金を受け取ろうとはせず、子どもたちになにかあった時のためにと押し付けてしまったのだった。
「あんたに感謝されるようなことでもないけどね……。マルグリットのことを考えりゃ、血は繋がってなくともその子はあたしの孫みたいなもんだ。そうだろ?」
「はい!」
こちらにぱちりと親愛のこもるウインクをしてくれた彼女に対し、スレイバート様の隣に立つ私も笑顔で頷き返した。新しい家族が増えたことは、なによりも嬉しい。
その最前列に顔を見せているメレーナさんが、スレイバート様と握手を交わした。
「本当にいいのかい? 子どもたちのためとはいえ、ゲルシュトナー領の人間でもないあんたに、あんな大金融通してもらっちまって」
「ああ。色々扱き使われたが……あんたがいなきゃ、大事なことが分からないままだったからな。俺もこいつも、感謝してる」
話をする条件として付きつけられた多額の寄付は、元々こちら側の本気度を測るための出まかせだったらしい。けれど結局、スレイバート様は彼女が返そうとしたお金を受け取ろうとはせず、子どもたちになにかあった時のためにと押し付けてしまったのだった。
「あんたに感謝されるようなことでもないけどね……。マルグリットのことを考えりゃ、血は繋がってなくともその子はあたしの孫みたいなもんだ。そうだろ?」
「はい!」
こちらにぱちりと親愛のこもるウインクをしてくれた彼女に対し、スレイバート様の隣に立つ私も笑顔で頷き返した。新しい家族が増えたことは、なによりも嬉しい。