魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
それは、一枚の紙片……いや、地図?
私がそれに首を傾げると、彼女は葛藤するようななんとも言えない表情で私たちに告げた。
「本来、魔女ってのは縄張りでもある薬草の場所を弟子以外に教えたりはしないんだが……そこに、マルグリットと出会った花畑の位置を記しておいた。なんにもならないかもしれないが……もし気になるようなら、一度行ってみるといい」
「…………分かりました」
かつて、母とメレーナさんの不思議な出会いがあった場所。おそらく、例の聖域には私が行っても十中八九辿り着くことはできまい。それでももしかしたら、なにか得るものがあるかもしれない。
「じっとしてな」
「…………?」
その受け渡しが済むと、メレーナさんは近づいて私の両手をしばらく握り、額を合わせるようにして目を閉じる。ずいぶんと張り詰めた雰囲気に私が戸惑っていると――
「あんたの未来が少しだけ見えた。【国の中心に大いなる災い集まらん時……その器と魂、切り離され、苛まれん】」
私がそれに首を傾げると、彼女は葛藤するようななんとも言えない表情で私たちに告げた。
「本来、魔女ってのは縄張りでもある薬草の場所を弟子以外に教えたりはしないんだが……そこに、マルグリットと出会った花畑の位置を記しておいた。なんにもならないかもしれないが……もし気になるようなら、一度行ってみるといい」
「…………分かりました」
かつて、母とメレーナさんの不思議な出会いがあった場所。おそらく、例の聖域には私が行っても十中八九辿り着くことはできまい。それでももしかしたら、なにか得るものがあるかもしれない。
「じっとしてな」
「…………?」
その受け渡しが済むと、メレーナさんは近づいて私の両手をしばらく握り、額を合わせるようにして目を閉じる。ずいぶんと張り詰めた雰囲気に私が戸惑っていると――
「あんたの未来が少しだけ見えた。【国の中心に大いなる災い集まらん時……その器と魂、切り離され、苛まれん】」