魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
(うううっ…………)
闇の中で私はそれに強く翻弄されながら、なんとか踏みとどまり目を凝らした。私の心を満たす静かな暗闇よりも、もっと禍々しくどろりとしたもの。それは後ろから押し寄せ、金の籠に纏わりついてその姿を見えなくしてゆく。
『――い、何か変じゃ――か?』
『言われてみ――、周りの雰囲気が変わ――ような……』
その間にも、微かに外からの声は聞こえており……籠は黒いどろどろに完全に呑みこまれてしまったかのように見えた。
けれど、黒いものはするりと中に引きずり込まれると分解され、揺り籠を構成する金色の光の筋へと、その姿を変えてゆく。まるで、汚れを濯がれ紡ぎ直されてゆく糸のように。
(懐かしい感じ…………これは、もしかして魔力の流れ?)
私はどろどろの流れに身を浸しながら、どうしてか、ひどく昔のことを思い出していた。まだ、私にかろうじて魔力があったころ……ここまでおぞましい形ではなくとも、こうした力の流れが私の中にも存在していたことを。
とするなら、これはもしかして穢れを帯びた魔力の成れの果て――瘴気、なの?
闇の中で私はそれに強く翻弄されながら、なんとか踏みとどまり目を凝らした。私の心を満たす静かな暗闇よりも、もっと禍々しくどろりとしたもの。それは後ろから押し寄せ、金の籠に纏わりついてその姿を見えなくしてゆく。
『――い、何か変じゃ――か?』
『言われてみ――、周りの雰囲気が変わ――ような……』
その間にも、微かに外からの声は聞こえており……籠は黒いどろどろに完全に呑みこまれてしまったかのように見えた。
けれど、黒いものはするりと中に引きずり込まれると分解され、揺り籠を構成する金色の光の筋へと、その姿を変えてゆく。まるで、汚れを濯がれ紡ぎ直されてゆく糸のように。
(懐かしい感じ…………これは、もしかして魔力の流れ?)
私はどろどろの流れに身を浸しながら、どうしてか、ひどく昔のことを思い出していた。まだ、私にかろうじて魔力があったころ……ここまでおぞましい形ではなくとも、こうした力の流れが私の中にも存在していたことを。
とするなら、これはもしかして穢れを帯びた魔力の成れの果て――瘴気、なの?