魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
『シルウィー……? おいシルウィーどうした! 何してんだ!』

 スレイバート様の焦る声が聞こえてきたが、私はそのまま集中を続けた。これが瘴気だというなら……それを外部から取り込んでいる私の身体はおかしくなっていても不思議ではない。

 でも、なぜだかそうはならないと……目の前で輝く光の籠が、教えてくれている気がする。さらに集中を深めると、流れは速くなり、それに応じて籠の光もより強いものになってゆく。

『呼吸が、楽に――』
『う、嘘――? ――の瘴気が薄れて――る……』
『目を開けろって――』

 そうだ、あの時――火吐き燕からスレイバート様を庇った時も、私は夢中で祈っていた。その結果が、こうした現象を呼び起こしたのだとしたら。

 集中が切れかけているのか、イメージがどんどんぼやけ始めてきた。それでも、現実に戻ろうとする意識を無理やり押し留め、私は祈り続ける。何度も気絶しそうになるのを堪え、必死で心の奥にしがみつき続ける。そして最後に……。
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