魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
その空気を胸いっぱいに吸い込むと、なんとなく体内が魔力で満ちる気配がして……しばし私たちは花畑を踏み荒らさないように丁度いい倒木をベンチがわりにして座り込むと、風にそよぐ燿魔花を見つめ続けた。
――――――――――…………………。
「……――何か起こるかと思ったが……そうでもねーな」
「……ええ」
しかし残念ながら、目立つ変化は起きてくれない。
目の保養にはずいぶんとなったし、最近もあれこれと忙しかったので森の中で日がな一日森林浴をしてゆくというのも私的には悪くないが……ただでさえ忙しいスレイバート様をこれ以上わがままに突き合わせるのもいただけない。
「ありがとうございました。心残りが解消できてよかったです。後に予定も控えていますし、そろそろ戻りましょう」
「……いいのか? なら、そうするか」
先に私が立ち上がると、スレイバート様が私のスカートについた土汚れを払ってくれる。感謝を伝えつつ、再び彼の腕にしがみついて歩き出すと……。
――――――――――…………………。
「……――何か起こるかと思ったが……そうでもねーな」
「……ええ」
しかし残念ながら、目立つ変化は起きてくれない。
目の保養にはずいぶんとなったし、最近もあれこれと忙しかったので森の中で日がな一日森林浴をしてゆくというのも私的には悪くないが……ただでさえ忙しいスレイバート様をこれ以上わがままに突き合わせるのもいただけない。
「ありがとうございました。心残りが解消できてよかったです。後に予定も控えていますし、そろそろ戻りましょう」
「……いいのか? なら、そうするか」
先に私が立ち上がると、スレイバート様が私のスカートについた土汚れを払ってくれる。感謝を伝えつつ、再び彼の腕にしがみついて歩き出すと……。