魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「失礼します……」
なんとなく、他所様の家に踏み入るような厳粛な気持ちで、私はゆっくりとそこへ足を踏み出す。その前を、ひらひらと美しい紫の羽を持つ蝶が横切っていった。
そして小さな花は、大樹の洞の中へと続いている。そこでなにかが待っているのだと、示すかのように。
「行きましょう……」
「気を付けろよ」
スレイバート様が半歩前に出てそこまでリードしてくれた。そして私たちが頭をぐっと低くし、円い穴を潜ると……。
「…………ここが」
言葉を失くし、私はその内部を見回した。
内側は、円筒形の空間になっており、上からしな垂れているのは、メレーナさんから聞いたように、ランプのように丸まった花弁を持つ植物。そして地面には……永い時間が経ち、風化した藁の束と、朽ちた木製の皿や散乱した木の実の殻。
「あ……ああ…………」
なんとなく、他所様の家に踏み入るような厳粛な気持ちで、私はゆっくりとそこへ足を踏み出す。その前を、ひらひらと美しい紫の羽を持つ蝶が横切っていった。
そして小さな花は、大樹の洞の中へと続いている。そこでなにかが待っているのだと、示すかのように。
「行きましょう……」
「気を付けろよ」
スレイバート様が半歩前に出てそこまでリードしてくれた。そして私たちが頭をぐっと低くし、円い穴を潜ると……。
「…………ここが」
言葉を失くし、私はその内部を見回した。
内側は、円筒形の空間になっており、上からしな垂れているのは、メレーナさんから聞いたように、ランプのように丸まった花弁を持つ植物。そして地面には……永い時間が経ち、風化した藁の束と、朽ちた木製の皿や散乱した木の実の殻。
「あ……ああ…………」