魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 葉擦れの音に重なるようにして――微かな鈴の音のようなものが、頭の奥に届いて。

「えっ?」
「どうした?」

 鳥のさえずりと聞き間違えたわけでもなく、それは……少しずつ鮮明になり、意味のある言葉を成してゆく。

(~~~あなたは……もしや、あの時の子ども?)

 息を呑む私の前で――いつの間にか純白の光球が、ふわふわと揺らいでいる……。
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