魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「お姉ちゃん! よかった……」

 すると妹は、ぱっと顔を輝かせてベリカに抱きついた。可愛い妹の姿を前にして、素直にお互いに無事を祝い合う、それだけでよかったはずだ。なのに――ベリカは。

「その……力は?」

 彼女の口から開口一番出たのは、喜びでもなく、他の家族の安否を問う言葉でもなく――なぜ、シリルがそんな力を得たのだという疑問。

 すると彼女は、困ったよう首を傾げつつもこう答えた。

「……わたし、目の前で皆が傷つけられているところを見ていて……。なにもできない自分が嫌で、精霊様に祈っていたの。そうしたら、目の前に光が現れて……力を貸してくれるって、声が――」
「――――――‼」

 殴りつけられたかのように頭が軋み、ベリカの目の前が真っ暗になった。
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