魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それにより、一年経った今また開かれようとしている選別の儀式で、彼女が次の精霊の巫女となることはほぼ決定した。当然だ。これまで誰も使えなかった奇跡の力を実現し、他の力の使い手にまで広めて見せた功績は、計り知れないのだから。

「待ってってば……!」
「…………」

 だが、どうしてもベリカには、そのことが許容できなかった。どうして精霊は、誰よりも努力した自分ではなく、妹を選んだのか。この村を率いるに相応しいのは、こちらに頼りきりで何もできない役立たずの妹ではなく……この、自分だったはずなのに。

 日ごとにそんな気持ちが膨れ上がり、ベリカはいつしかシリルの顔を見る度に憎しみを覚えるようになっていった。

 しかし、シリルはそんな自分の気持ちを考えず、これまでと同じように、まるで犬の様にじゃれついてくる。それがうざったく、そしてプライドの高いベリカには我慢できない。

「ねえ、お姉ちゃん――」
「――うるさいっ!」

 その思いがここで爆発した。
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