魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
聖域にいる動物たちのように、長く生きた末に精霊化しだした者たちともまた違い、大地にこびり付き、蓄積していった人間の生への執着、負の思念などが凝縮されて生まれた存在。精霊はそう説明し、私は息を詰めた。
「ええっ、それって……!? 精霊教会を立ち上げたのは、それに憑りつかれたベリカさんなんですよね……? ということは、あの組織自体も……」
精霊教会が、その邪悪な精霊に操られて作られたものなら、そこに所属する教会員の多くも、この国を……いや、世界を滅ぼそうと目論んでいる?
しかしほっとしたことに、そんな恐ろしい想像に光からの訂正が入った。
「少なくとも、末端の教会員はなにも知らずに上層部に従っているだけでしょう。しかしそれも、くまなくこの国に権力を行き渡らせるための方策に過ぎない。時が来ればどうなるか分かりません」
何万人もいる全ての精霊教会の人間が、この帝国の人間に牙を剥くとすれば、それは大きな災いとなってこの帝国を包むだろう。そしてもしこの国の国土を狙う周辺国家がそれに乗じるとしたら、どのような悲劇がこの先に待つのか、想像もつかない。
「そんなもの、どうすれば……」
「ええっ、それって……!? 精霊教会を立ち上げたのは、それに憑りつかれたベリカさんなんですよね……? ということは、あの組織自体も……」
精霊教会が、その邪悪な精霊に操られて作られたものなら、そこに所属する教会員の多くも、この国を……いや、世界を滅ぼそうと目論んでいる?
しかしほっとしたことに、そんな恐ろしい想像に光からの訂正が入った。
「少なくとも、末端の教会員はなにも知らずに上層部に従っているだけでしょう。しかしそれも、くまなくこの国に権力を行き渡らせるための方策に過ぎない。時が来ればどうなるか分かりません」
何万人もいる全ての精霊教会の人間が、この帝国の人間に牙を剥くとすれば、それは大きな災いとなってこの帝国を包むだろう。そしてもしこの国の国土を狙う周辺国家がそれに乗じるとしたら、どのような悲劇がこの先に待つのか、想像もつかない。
「そんなもの、どうすれば……」