魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「詳しい経緯は分かりませんが……あの子はお前を残して逝ってしまったようですね。強かだった闇は、そこでまた動き始めた。この国を包んだ大きな悲しみに呼応するように、また災いを大地に振り撒き始めている。そしてそれは、かつてを上回る勢いで、今やこの国を包もうとしている。外側からじわじわと、逃げ出せぬよう追い詰めていくように」
「…………」
ボースウィン領やリュドベルク領の件を除外しても、今、ラッフェンハイム帝国ではおそらく水面下で様々な問題が起きているのだろう。それがベリカ――いや、ヴェロニカに乗り移った何者かが起こしているのだとすれば……対抗できるのは母だけだったはずなのに……。
「ごめんなさい……。私が生まれたせいで、母は……」
この帝国の、何白何千万もの人々の命を背負っていた母が、私のせいで死んだ。そのことを再認識し、ぐっと私の胸に強い罪の意識がのしかかる。しかし……それを和らげようとするかのように、光はすっと私の胸元に入り込んで瞬いた。
「どんな存在も永遠ではない。未来へ、命や思いを伝え続けることが、生きものたちの役割。
あなたに命を繋いだことで、あの子は自分の使命をまっとうした。罰されるべきは、自らの尻拭いのために、あの子に重すぎるものを背負わせようとした私たちなのですよ」
「でも…………」
「…………」
ボースウィン領やリュドベルク領の件を除外しても、今、ラッフェンハイム帝国ではおそらく水面下で様々な問題が起きているのだろう。それがベリカ――いや、ヴェロニカに乗り移った何者かが起こしているのだとすれば……対抗できるのは母だけだったはずなのに……。
「ごめんなさい……。私が生まれたせいで、母は……」
この帝国の、何白何千万もの人々の命を背負っていた母が、私のせいで死んだ。そのことを再認識し、ぐっと私の胸に強い罪の意識がのしかかる。しかし……それを和らげようとするかのように、光はすっと私の胸元に入り込んで瞬いた。
「どんな存在も永遠ではない。未来へ、命や思いを伝え続けることが、生きものたちの役割。
あなたに命を繋いだことで、あの子は自分の使命をまっとうした。罰されるべきは、自らの尻拭いのために、あの子に重すぎるものを背負わせようとした私たちなのですよ」
「でも…………」