魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
母のことを思い出したのか、スレイバート様の瞳が懐旧の念を映した。
そういえば、私も光の精霊に言われて知ったのだが……どうもスレイバート様の片親――母君も精霊であるらしい。それを聞いてようやく私も、あのコフェンの村で村長の女性が言っていた、アルフリード様の謝罪の意味が理解できたような気がした。あれは親として、二度と母親に会わせてやれないことへの申し訳なさから生じた言葉だったのではないだろうか。
他に家族が居たとはいえ、スレイバート様も私と同じ寂しさを抱えたことはあっただろう。それを思い遣るように逞しい腕に触れると、彼は頼もしい笑いを私に返していた。
「心配すんな。もうマルグリットはいねーけど、代わりに俺や、他のやつらがお前の力になる。それに先々の予定は決まってんだ……とっとと面倒なことは終わらせちまって盛大に式を挙げたら……気の合うやつらとボースウィン領で楽しく暮らそうぜ」
「ええ……」
これまでと一緒だ。自らの持てる力を振り絞って、全力で私たちの幸せな未来を勝ち取る。そうすればきっと、今私の胸に渦巻く様々な思いに区切りが付けられる。
「そのためにも、精いっぱい頑張りますね!!」
「……大丈夫か?」
そういえば、私も光の精霊に言われて知ったのだが……どうもスレイバート様の片親――母君も精霊であるらしい。それを聞いてようやく私も、あのコフェンの村で村長の女性が言っていた、アルフリード様の謝罪の意味が理解できたような気がした。あれは親として、二度と母親に会わせてやれないことへの申し訳なさから生じた言葉だったのではないだろうか。
他に家族が居たとはいえ、スレイバート様も私と同じ寂しさを抱えたことはあっただろう。それを思い遣るように逞しい腕に触れると、彼は頼もしい笑いを私に返していた。
「心配すんな。もうマルグリットはいねーけど、代わりに俺や、他のやつらがお前の力になる。それに先々の予定は決まってんだ……とっとと面倒なことは終わらせちまって盛大に式を挙げたら……気の合うやつらとボースウィン領で楽しく暮らそうぜ」
「ええ……」
これまでと一緒だ。自らの持てる力を振り絞って、全力で私たちの幸せな未来を勝ち取る。そうすればきっと、今私の胸に渦巻く様々な思いに区切りが付けられる。
「そのためにも、精いっぱい頑張りますね!!」
「……大丈夫か?」