魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「とりあえず、話になったらお前は後ろで静かにしてりゃいいから。んでもし、その【精霊の祈り塩】とやらが蓄えられている倉庫に案内された時は、呪いの除去を頼む」
「はい」

 これからお会いするのも、この国で十本の指に数えられるほどの大貴族だ。失礼のないようにしなければと気を引き締める一方で、スレイバート様も同様の位なのだと思えば、わずかだけれど気後れも和らいでくる。

 案内の兵士に続き長い回廊を歩いた後、ついに私たちは、黄金で縁取られた扉の前に辿り着いた。ここが、会見用の大広間……。

 大声で兵士が到着を報せ、開かれた扉の奥。
 座していたひとりの人物が立ち上がって私たちを出迎える。

「はるばるボースウィン領からようこそ参られた! 私が、このゲルシュトナー領を治めているバルテンだ。お初にお目にかかる、ボースウィン公スレイバート殿」
「この度は、急な申し出に応じていただき感謝します。ゲルシュトナー公バルテン殿」

 ゲルシュトナー公爵は、青髪に青い目をした、海辺の領地に相応しい爽やかな男性だった。年齢は見た目通りなら三十を過ぎたところくらいか。白い衣装が目に眩しい。
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