魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 おそらく、スレイバート様と比して公爵家の妻となるには不適格だという烙印を押されたのではないか。人目を引くような外見でもなく、現時点で彼にアピールできる美点もないのだから、当然のことか。

 微かにそれを見ていたスレイバート様の視線の温度が下がって冷や冷やするが、さすがに自分より年上の大貴族に食って掛かるようなこともないだろう。くれぐれも頼みごとの前に問題を起こさないでくれますようにと、心の中で祈っておく。

 そうこうしているうちに社交辞令も終わり、話題はそれぞれの領地の近況へと移っていった。

「いやあ、それにしてもボースウィン領は目を見張る復興ぶりを遂げているとか! これもひとえに、北の民の我慢強さとスレイバート殿の人徳によるものでしょう。我が領地もあやかって、もっと自領を発展させていかなければ……! そのためにもどうです、今後我が領との親交をもっと深めませんか? 特に、そちらで大きく発展しつつある魔道具産業の知識を授けていただけるなら、投資は惜しみませんよ?」
「大変ありがたい申し出ですね。しかし、我が領地も未来の展望は明るいとはいえ、常時魔物や敵国からの脅威に晒されていますから。まずは目指すべきは自領の安定。それに、こたびの災害で大きな被害を受けたリュドベルク領への支援の件もあります。大規模な計画を進めてゆくには、もう少しお時間をいただきたいところですね」
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