魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
慎重な姿勢を見せるスレイバートに様に対し、ゲルシュトナー公は大きく頭を抱える仕草をした。
「いやあ、お気持ちは分からなくはありませんが、いけませんよ! 他領のことは他領のこと! 領主も代替わりしたと言いますし、リュドベルク領はこれから大きく力を落とすやもしれない。それにかかずらっていては、せっかく立ち直ったあなた方まで共倒れになってしまう! あちら側の復興支援など放っておいて、ぜひ我々と強調し、帝国一潤沢な領地という立場を確立して、領民に盤石な生活を! そうは思いませんか?」
「ハハハ……ご、ごもっともで」
自領アピールの凄いゲルシュトナー公爵にスレイバート様が腰を引いていると、彼はそれからもリュドベルク領の批判を繰り返した。
「まったく……噂では原因不明の瘴気の発生や魔物の暴走が原因だとか言われていますが、そんなもので対応を誤り多くの領民を危険に晒すなど、公爵家としてあるまじき失態。四大公爵家として並び称されてきた我々ではありますが、そろそろその枠組みも考え直さねばならないところにまで来ているのかも知れませんなぁ! ハハハハハッ!」
「かもしれませんね……フフフフフ」
機嫌よく饒舌なゲルシュトナー公が話すかたわら、スレイバート様の方はといえば、すでに顔が強張り、組まれた後ろ手は怒りに震えている。かろうじて笑みを維持しているが、いつ怒鳴り出してもおかしくなさそう。一触即発の雰囲気に見ていて胃がきりきりする。
「いやあ、お気持ちは分からなくはありませんが、いけませんよ! 他領のことは他領のこと! 領主も代替わりしたと言いますし、リュドベルク領はこれから大きく力を落とすやもしれない。それにかかずらっていては、せっかく立ち直ったあなた方まで共倒れになってしまう! あちら側の復興支援など放っておいて、ぜひ我々と強調し、帝国一潤沢な領地という立場を確立して、領民に盤石な生活を! そうは思いませんか?」
「ハハハ……ご、ごもっともで」
自領アピールの凄いゲルシュトナー公爵にスレイバート様が腰を引いていると、彼はそれからもリュドベルク領の批判を繰り返した。
「まったく……噂では原因不明の瘴気の発生や魔物の暴走が原因だとか言われていますが、そんなもので対応を誤り多くの領民を危険に晒すなど、公爵家としてあるまじき失態。四大公爵家として並び称されてきた我々ではありますが、そろそろその枠組みも考え直さねばならないところにまで来ているのかも知れませんなぁ! ハハハハハッ!」
「かもしれませんね……フフフフフ」
機嫌よく饒舌なゲルシュトナー公が話すかたわら、スレイバート様の方はといえば、すでに顔が強張り、組まれた後ろ手は怒りに震えている。かろうじて笑みを維持しているが、いつ怒鳴り出してもおかしくなさそう。一触即発の雰囲気に見ていて胃がきりきりする。