魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
放射状に全方位に浮かせた氷の礫が、ばら撒かれて兵士たちの足元を凍らせた。
それで大半の兵士は行動が不可能になったものの……呪いで操られた意志までは砕けず、彼らは剣の柄で氷を砕き、魔法で溶かし、思い思いの方法で戦いに復帰しようとしてくる。
そしてそれよりも厄介なのが……。
「ハハハ、貴殿の勇猛さはこの耳にも届いているが、はたして雑魚どもに気を取られながら、この私の相手ができるかな?」
ゲルシュトナー公も四大公爵家の名に恥じぬ、かなりの魔法の使い手のようだ。
頭の上に浮かべた巨大な水球から、水で出来た槍がまるで蛇のようにうねりながら、次々と飛来する。スレイバート様は、氷の剣を両手に兵士たちを倒しつつ、浮遊させた氷盾でゲルシュトナー公の攻撃を防いでいるが、手数的にも厳しい状態だ。
気が付けば、入り口から押し寄せる兵士により、広間は私たちのいる場所以外足の踏み場もなくなっている。
「脱出路も塞がれたか……こりゃあ、形振り構っていられねえかもな」
スレイバート様の首筋には汗が浮かび始めた。彼一人ならば、なんとかなる状況なのかもしれないが、この状況で足手まといの私を連れて穏便に脱出するというのは、無理難題に近い。
それで大半の兵士は行動が不可能になったものの……呪いで操られた意志までは砕けず、彼らは剣の柄で氷を砕き、魔法で溶かし、思い思いの方法で戦いに復帰しようとしてくる。
そしてそれよりも厄介なのが……。
「ハハハ、貴殿の勇猛さはこの耳にも届いているが、はたして雑魚どもに気を取られながら、この私の相手ができるかな?」
ゲルシュトナー公も四大公爵家の名に恥じぬ、かなりの魔法の使い手のようだ。
頭の上に浮かべた巨大な水球から、水で出来た槍がまるで蛇のようにうねりながら、次々と飛来する。スレイバート様は、氷の剣を両手に兵士たちを倒しつつ、浮遊させた氷盾でゲルシュトナー公の攻撃を防いでいるが、手数的にも厳しい状態だ。
気が付けば、入り口から押し寄せる兵士により、広間は私たちのいる場所以外足の踏み場もなくなっている。
「脱出路も塞がれたか……こりゃあ、形振り構っていられねえかもな」
スレイバート様の首筋には汗が浮かび始めた。彼一人ならば、なんとかなる状況なのかもしれないが、この状況で足手まといの私を連れて穏便に脱出するというのは、無理難題に近い。