魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「精霊様……!?」
『私が力を貸しましょう。今のお前ならば、その祈りの力を多くの者に届けることが、きっとできる――』
「で、でも……そ、そんなのどうすれば!?」

 今まで、人の心に巣食う呪いを除去する際には、その人と触れ合い、理解する必要があった。今の状況ではそんなこともしていられず、激しく動揺する私――でも、不思議とすぐに覚悟は決まった。

 思い出したのだ……魔法の源となっているのは、精霊の力。ならばその使い方もきっと変わらない。要はイメージ。母がかけてくれた魔法の力と、精霊の力を合わせ……心の内を、自分の外にまで拡大する。

(私の祈りを……気持ちを光に乗せて届ける……!)

 カヤさんの時のように、皆の心が呪いと強く結びついているわけじゃない。なら、引き離せるはず……!

 スレイバート様を信じて命を委ねた私は、両手を握り目を閉じた。微かな同様の気配の後にすぐ、私たちの周りをなにかが覆う。おそらく……こちらの行動を見たスレイバート様が、氷の防壁で時間を稼ごうとしてくれている。

 ――その気持ちに、応えたい。
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