魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
初めての試みに、大きく疲労した私はその場にへたり込む。
謁見用の大広間は、さっきの戦闘でひどい有様だ。あちこちの床や壁に穴が空き、そこら中で兵士たちが意識を失くしている。気を失ったゲルシュトナー公を担いできたスレイバート様の労いに応えつつも、その惨状に私が顔を顰めていると……。
「う……うっ。いったいこれは、どうなってるんだ?」
「た、確か……公爵様に命じられた後、頭が熱くなって……」
呪いの影響度にも差異があったか、幾人かの兵士たちが立ち上がって、不思議そうに周りを見渡し始めた。いずれもその瞳には意志の輝きが戻っており、副作用のようなものはなさそうだったが……。
「バ、バルテン様! ボースウィン卿、城主に何をしたのです!」
しかし困ったことに、ゲルシュトナー公の下にも忠義心のある人物はいて、呪いから解放されたところで主を守ろうという真っ当な敵意がこちらに向く。
なにせ私たちを捕えようとした公爵は意識を失い、兵士たちのほとんどが未だ混乱しているのだ。こちらからは弁解のしようもない。
謁見用の大広間は、さっきの戦闘でひどい有様だ。あちこちの床や壁に穴が空き、そこら中で兵士たちが意識を失くしている。気を失ったゲルシュトナー公を担いできたスレイバート様の労いに応えつつも、その惨状に私が顔を顰めていると……。
「う……うっ。いったいこれは、どうなってるんだ?」
「た、確か……公爵様に命じられた後、頭が熱くなって……」
呪いの影響度にも差異があったか、幾人かの兵士たちが立ち上がって、不思議そうに周りを見渡し始めた。いずれもその瞳には意志の輝きが戻っており、副作用のようなものはなさそうだったが……。
「バ、バルテン様! ボースウィン卿、城主に何をしたのです!」
しかし困ったことに、ゲルシュトナー公の下にも忠義心のある人物はいて、呪いから解放されたところで主を守ろうという真っ当な敵意がこちらに向く。
なにせ私たちを捕えようとした公爵は意識を失い、兵士たちのほとんどが未だ混乱しているのだ。こちらからは弁解のしようもない。