魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
その剣幕に、まるで懲りていない様子でゲルシュトナー公は引き下がると、どのようにしてあの、【精霊の祈り塩】という商品の流通計画が始まったかを、記憶を遡って教えてくれた。
「あれは、もう今から十年と少しほど前のことになるだろうか……」
ずいぶんと、もったいぶった感じでその話は始まった。
当時、彼は二十を少し越えた頃で、先代から受け継いだこのゲルシュトナー領を、これからどうやって盛り立てていくのかで悩んでいた。なにせ、先代はあまり領地経営に熱心ではなく、そして彼自身も金のこと――商売に関しては人一倍の興味を持っていたが、それ以外の施策には、まったく興味がもてなかったからだ。
各街への住人の誘致とか、領内の治安を安定させるための徴兵、非常時に備えた領軍の訓練に、食にあぶれた領民にふってやるための公共事業の創作など……領主として取りまとめなければならない仕事は多岐に渡るが、殊の外つまらない。
なので、なんとかうまく手を付けずに自分の任期を全うできないかなどと、ひたすら楽できる方法を探していたのであった。
「そこへ、丁度いい話が舞い込んで来たんですよ。王都に住まう、セレーニテ公爵からの直々の相談でね」
「あれは、もう今から十年と少しほど前のことになるだろうか……」
ずいぶんと、もったいぶった感じでその話は始まった。
当時、彼は二十を少し越えた頃で、先代から受け継いだこのゲルシュトナー領を、これからどうやって盛り立てていくのかで悩んでいた。なにせ、先代はあまり領地経営に熱心ではなく、そして彼自身も金のこと――商売に関しては人一倍の興味を持っていたが、それ以外の施策には、まったく興味がもてなかったからだ。
各街への住人の誘致とか、領内の治安を安定させるための徴兵、非常時に備えた領軍の訓練に、食にあぶれた領民にふってやるための公共事業の創作など……領主として取りまとめなければならない仕事は多岐に渡るが、殊の外つまらない。
なので、なんとかうまく手を付けずに自分の任期を全うできないかなどと、ひたすら楽できる方法を探していたのであった。
「そこへ、丁度いい話が舞い込んで来たんですよ。王都に住まう、セレーニテ公爵からの直々の相談でね」