魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「で、でも、まだ本当に私のやったことかどうかわからないじゃない……? 状況的にそう見えただけで、単なる偶然だったのかも。ちゃんと別のところでも試してみないことには」

 うっとりとこちらを見つめてくるテレサの声にはっとすると、私は神妙な顔つきで両手を振った。

 スレイバート様を助けた場面から考えると二度目だから、一回こっきりの能力ということでもないのだろう。期待のし過ぎは禁物だけど、でも特に体に異常がでたりはしていないし、この能力が現れたことは私にとって朗報だ。これで、受け入れてくれた彼らのために、なにかできるかもしれない。

「ま、ともかく……これはボースウィン領にとって明るい知らせだ。今さら実家に帰るなんて俺が許さねえからな。お前にはこの城の一員として、これからしっかり働いてもらうぜ」
「ええ……できる限りのことはします。どうせ帰ったところでまた売り飛ばされるだけですしね」

 片唇を吊り上げるような意地悪い笑みを浮かべてみせたスレイバート様にそう答えると、「お姉様を粗雑に扱うなんて、私が許しませんからね!」とテレサが横合いから抱きつき、場は笑いで満ちる。

 仲間として受け入れられていることを感じ、戸惑いはするけど、どこか、胸の奥が心地いい。頬の緩みを感じていると、そこで食堂の柱時計がお昼時の終わりを知らせた。
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