魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「いつつ……アッハッハ、失敗失敗! しかしまあ、運がよかったといえましょう! こうしてあなた方が止めに来てくださったおかげで、多くの住民が呪いから解放され、貴族たちも多少の諍いはあったかも知れないが、死人は出ていない。我々の懐が潤ったのは事実ですし、丁度いい辞め時だったということでしょうな!」
「あのなぁ……」

 ほっぺたを押さえながらもあっけらかんと笑うこの人に、スレイバート様も気が抜けて振り上げた拳を降ろすしかなかった。そして、ここからはやっと今後についての真面目な話し合いとなる。

「ともかく、俺たちを今すぐ備蓄してある祈り塩の場所へ連れて行け。それと、今流通させてる分も、いずれ解呪させるからどっかに集めとけよ。んで、それが終わったら全部廃棄して販売停止だ」
「ええっ!? の、呪いを解いた分は、売りに出しても……」
「やばい薬を入れてあるって自分で言ってたろうが! 処分だ、処分」
「そんなあ……」

 項垂れたゲルシュトナー公を一瞥すると、スレイバート様はガシガシと頭を搔きながら大きな溜め息を吐く。

「おたくらの領民が可哀想だから、それが終わったら、領内の立て直しのための相談には乗ってやる。知り合いも暮らしてることだしな。だからあんたも、もう少し上に立つ者としてしっかりしろ!」
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