魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 公爵は調子よくすべての責任を精霊教会にひっ被せると、屈託の無い笑いを響かせた。

「そのへこたれなさだけは、ある意味領主に向いてるかもな……」
「そうですね……」

 私たちの冷ややかな視線もどこへやら。延々と気持ちよく笑い続ける彼。

 それを見て、ゲルシュトナー領に広まりかけた問題を食い止め、ヴェロニカの糾弾の材料を手にし先行きも明るくなった私たちも、少し肩の力を抜いて笑い合おうとした、その矢先だった。

「報告――ッ!」

 勢いよく――ゲルシュトナー公の後ろの扉が開かれ、ひとりの兵士が飛び込んでくる。

「なんだ! 客人との会談中だぞ!」

 たちまち威厳を取り戻したかのように一喝する公に、息を荒げた兵士が厳しい表情で唾を飛ばす。
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