魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「ふん……あのような腰抜けどもの相手をするくらいなら、まだお前たちと遊んでいた方が楽しめたな」
「もったいなきお言葉にございますわ。陛下」

 薄い寝間着を羽織っただけの主に顎を掴まれ、側にいた女官たちは腰砕けになる。
 どんな男にも負けぬ猛々しく屈強な褐色の肢体と、獅子の如き凶暴さの中に中性的な美しさを併せ持った顔立ち。その姿は、この国に生きる女たちの憧れであり誇り。

 たった今、よく磨かれた黄金の玉座へどかりと腰を下ろし膝を組んだ彼女こそが……この広大な大陸でただひとり、女性の身で王の称号を戴く者。
 ベルージ王国十二代目女王――コルネリアス=アルバ・セルン・ボーシャス・ロドヴァー・ベルージであった……。

 このいかにもな長ったらしい名前は、国威を示さんがためである。間に挟まれるのは、すべて発足以来滅ぼし傘下に組み入れてきた、亡国の名残。ラッフェンハイム帝国が屈することあらば、その名もここに連ねられることとなるだろう。その時はもう間近だ――。

「ふふ……どの世でも、女というのは強かで、恐ろしいものよ」
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