魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 それを知ってか知らずか、ヴェロニカは妖艶な笑みを深めると、己の組み立てた計画を話し出す。
 そして――。

「ふふふ……こたびを逃せば、もう機会は無くなるかも知れませんわね。時は、万物から等しくすべてを奪い去ってゆく……心残りを失くしたければ、なるべく早いご決断を」

 用は本当にそれだけだったらしい。計画の全容を伝えるなり、ヴェロニカの姿はその場から煙のように消えた。後には這いつくばる近衛たちと、不機嫌そうな表情をしたコルネリアスだけが遺される。

「…………ち」

 そしてまるで図ったかのように倒れていた彼女らが起き上がったことで、コルネリアスの機嫌はさらに悪くなったが――

「……う。 いったい、わ、我々は……」
「ま、まさか! 我らは揃いも揃って侵入者を取り逃したと……!? も、申し訳ございません……御身の守護を任された役目にあるまじき失態! 死んでお詫びを!」
「よい! あれは魔物の類だ……」

 目覚めるや否や自害を試みた兵たちを一声で黙らせ、コルネリアスはしばし黙考する。
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