魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
豊かな国土を誇る帝国のへの嫉妬からか、数限りなく繰り返される侵攻のうち、ある時、彼女は出会った。
大敗を喫したある戦で、自分を嫌う上官の命に捨て駒紛いの殿を務めさせられ、味方を逃がすために死を覚悟した一騎打ちに臨んだその相手こそが、帝国北部一帯を治める英雄アルフリードだったのだ。
華麗なる魔法剣に翻弄されて相手にもならず、このまま捕えられ、辱めを受けるぐらいならと喉元に突き付けた刃を彼は弾いた。そして、すべての兵を引かせ背中を向けた。
『――最後まで始末をつけろ! 戦士の誇りを穢すか!』
完膚なきまでに勝っておいて――そう呼びかけたコルネリアスの最後の言葉にも答えず、アルフリードはこちらを一瞥しただけで消えてしまった。あまりの悔しさに命を断つことも考えたが、あの時の、気づかわしげな表情が、頭から離れない。なんとしてでも雪辱を果たさねば地獄にすらいけそうにない……。
憤怒の力は凄まじく、その後死に物狂いで上官を追い落とし軍を掌握したコルネリアスは、半ば反乱に近い形で王国の実権を掴み取った。だが……その後も帝国に攻めかかっては手痛い敗北を喫すばかりで……手堅く隙を見せない老兵クリム・イシュボアや、若かりし賢者マルグリット・ハクスリンゲンにも阻まれ、その刃が再びアルフリードに届くことはなかった。
大敗を喫したある戦で、自分を嫌う上官の命に捨て駒紛いの殿を務めさせられ、味方を逃がすために死を覚悟した一騎打ちに臨んだその相手こそが、帝国北部一帯を治める英雄アルフリードだったのだ。
華麗なる魔法剣に翻弄されて相手にもならず、このまま捕えられ、辱めを受けるぐらいならと喉元に突き付けた刃を彼は弾いた。そして、すべての兵を引かせ背中を向けた。
『――最後まで始末をつけろ! 戦士の誇りを穢すか!』
完膚なきまでに勝っておいて――そう呼びかけたコルネリアスの最後の言葉にも答えず、アルフリードはこちらを一瞥しただけで消えてしまった。あまりの悔しさに命を断つことも考えたが、あの時の、気づかわしげな表情が、頭から離れない。なんとしてでも雪辱を果たさねば地獄にすらいけそうにない……。
憤怒の力は凄まじく、その後死に物狂いで上官を追い落とし軍を掌握したコルネリアスは、半ば反乱に近い形で王国の実権を掴み取った。だが……その後も帝国に攻めかかっては手痛い敗北を喫すばかりで……手堅く隙を見せない老兵クリム・イシュボアや、若かりし賢者マルグリット・ハクスリンゲンにも阻まれ、その刃が再びアルフリードに届くことはなかった。