魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
コルネリアスの半生は、いつかアルフリードを目の前に跪かせ、その美しい顔を敗北の恥辱に歪ませてやろうという醜い望みに突き動かされたものだった。
しかしある何でもない日に……国外から彼の訃報が届いた。
その時コルネリアスの胸を貫いたのは、喜びではなく激しい痛み――。
そして気付いたのだ……この肥大したアルフリードへの感情が敵意ではなかったことを。
恋焦がれていた……。捨て去ったはずの自らの女の部分が、あの決して手に入らない、世にも美しく強い公爵を求め続けていた。
そのことに気付いたコルネリアスの気持ちは、表面上は取り繕っていても、以来どこか腑抜けてしまった。自分にとって、あれ以上に追い求める存在など、どこにもいない。それを自らの手の届く場所ではなく、遥か遠い土地で失ってしまったことが……どうしようもなく虚しかった。
女王の座も財産も、手に入れた後宮も……なにもかもがたったひとりの死で色褪せ、無価値となってしまった。それきりコルネリアスは、ずっと彩のない退屈な日々に身を浸している他なかったのだ。
しかしある何でもない日に……国外から彼の訃報が届いた。
その時コルネリアスの胸を貫いたのは、喜びではなく激しい痛み――。
そして気付いたのだ……この肥大したアルフリードへの感情が敵意ではなかったことを。
恋焦がれていた……。捨て去ったはずの自らの女の部分が、あの決して手に入らない、世にも美しく強い公爵を求め続けていた。
そのことに気付いたコルネリアスの気持ちは、表面上は取り繕っていても、以来どこか腑抜けてしまった。自分にとって、あれ以上に追い求める存在など、どこにもいない。それを自らの手の届く場所ではなく、遥か遠い土地で失ってしまったことが……どうしようもなく虚しかった。
女王の座も財産も、手に入れた後宮も……なにもかもがたったひとりの死で色褪せ、無価値となってしまった。それきりコルネリアスは、ずっと彩のない退屈な日々に身を浸している他なかったのだ。