魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
それを聞いた私は、テレサの肩を掴んで揺さぶった。
「……なら、それをやってみましょうよ! 多少しょっぱくなったところで構いやしないわ。泣きながらでも作って、心を込めて彼らにプレゼントしましょうよ。単なる食べ物だって、そこに込めた思い出や気持ちは心に残る。大切な人から貰った想いが……きっと一番大変なところで皆の力に変わってくれるって、私はそう信じる」
ここで出会ったたくさんの人たちが、私に心というものが示す力を教えてくれた。それがなければ、今きっと私はこうしてここにいない。
それは魔法を操ることだけじゃなく……きっと私たちが行うどんな行動にも、わずかなりとも影響を与えているはず。
だから私は、今直に触れているテレサにもこの気持ちが伝わるはずだと疑わず、じっと彼女の瞳を見つめ続ける。するとテレサはようやく顔をあげ、零れ落ちようとする涙をそっと拭った。
「……お姉様は、本当にすごいです。優しいだけではなく、こんなにも強く勇気づけてくれる……。私、思い出しました……父に頼んで、自分からこの地に残ることを選んだんだって」
彼女の ぼやけていた銀色の瞳の奥にわずかに光が戻り、私の姿をはっきりと映す。
「……なら、それをやってみましょうよ! 多少しょっぱくなったところで構いやしないわ。泣きながらでも作って、心を込めて彼らにプレゼントしましょうよ。単なる食べ物だって、そこに込めた思い出や気持ちは心に残る。大切な人から貰った想いが……きっと一番大変なところで皆の力に変わってくれるって、私はそう信じる」
ここで出会ったたくさんの人たちが、私に心というものが示す力を教えてくれた。それがなければ、今きっと私はこうしてここにいない。
それは魔法を操ることだけじゃなく……きっと私たちが行うどんな行動にも、わずかなりとも影響を与えているはず。
だから私は、今直に触れているテレサにもこの気持ちが伝わるはずだと疑わず、じっと彼女の瞳を見つめ続ける。するとテレサはようやく顔をあげ、零れ落ちようとする涙をそっと拭った。
「……お姉様は、本当にすごいです。優しいだけではなく、こんなにも強く勇気づけてくれる……。私、思い出しました……父に頼んで、自分からこの地に残ることを選んだんだって」
彼女の ぼやけていた銀色の瞳の奥にわずかに光が戻り、私の姿をはっきりと映す。