魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
2.戦前の一夜 -only one-
深夜……ひっそりと静まり返った城内にて。
私はひとつの包みを持って、スレイバート様の寝室の前に立つ。
事前に人払いはしてくれていたようで、普段は扉の両脇に立つ衛兵も、遠く離れた階段の側へ移動している。
こんな時間に彼に会いに行ったことはほとんどなく……顔がやや熱く火照るのを感じながら私は空いた片手で小さく扉を叩いた。すると――。
「来たか。入れよ」
すっと扉が開き、就寝前のスレイバート様が姿を現す。
その身体は、薄暗い魔法の灯火の下でも、うっすらと光り輝いているように見えた。
ゆったりとした衣服の上にガウン姿で、開いた首元の白さに胸の鼓動が半拍速まった私は、どうにか深呼吸でそれを押さえると、部屋に踏み入り扉を閉めた。
「あっ……」
「ん? なんか面白いもんでもあったか?」
「……いいえ」
私はひとつの包みを持って、スレイバート様の寝室の前に立つ。
事前に人払いはしてくれていたようで、普段は扉の両脇に立つ衛兵も、遠く離れた階段の側へ移動している。
こんな時間に彼に会いに行ったことはほとんどなく……顔がやや熱く火照るのを感じながら私は空いた片手で小さく扉を叩いた。すると――。
「来たか。入れよ」
すっと扉が開き、就寝前のスレイバート様が姿を現す。
その身体は、薄暗い魔法の灯火の下でも、うっすらと光り輝いているように見えた。
ゆったりとした衣服の上にガウン姿で、開いた首元の白さに胸の鼓動が半拍速まった私は、どうにか深呼吸でそれを押さえると、部屋に踏み入り扉を閉めた。
「あっ……」
「ん? なんか面白いもんでもあったか?」
「……いいえ」