魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「光の精霊様に会った時なのですが、彼女がこう言ったんです。スレイバート様のお母さまは、ボースウィン領を守っていた精霊だったのだと……。それは、間違いありませんか?」
「……そういや、お前には話してなかったな。ああ、その通りだ。つっても俺も親父から聞いただけだが」

 彼が目線で示した謝意を、指先で彼の腕に触れることで押し止める。別にそんなことでへそを曲げたりはしない。それにむしろ、謝らなくてはならないのは……私の方なのだから。

 一拍の呼吸の後……どうしても伝え難かった事実を、口に出す。

「――ごめんなさい! 私……あなたとの子どもを作れないかもしれないんです!」

 空気が凍るように感じ、私はきつく目を閉じる……。

 世継ぎを産めない――それは公爵夫人として不適格の烙印を押されて余りあるほどの瑕疵。本来なら、こんな大事の前に伝えることじゃない。でも……どうしてもこれ以上彼を(あざむ)いていられなかった。

 でも、それにこの人は……。
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