魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 精霊は、長き寿命を持つがゆえか、本来子を残したりしない。世界を守護するためか、魔力の集まりやすい場所で一定の力をもって生み出され、それが尽きると消える。
 その中で、使命のために、人と交わることで子供を宿すような者はごく稀だ。次代への継承という機能を持たない精霊にとっては、子を成すという行為自体が自分のすべてを受け渡すに等しく、ほとんどが力を使い切って消えてしまう。

 だからこそ、その行いは彼らにとって、そしてお互いが半精霊といえる私たちにとっても無理があることで……。

「――私たちの間に子どもができる確率は、とても低いと考えた方がいいって」

 精霊様も、将来私たちがこのことに苦しむであろうことを案じて、事前に伝えてくれた。そして、私も……教えてもらっておいてよかったと思う。長い間たくさんの人を期待させた後で悲しませるのは、とても辛いことだから。

 それでも――。

「スレイバート様……」
「どうした?」

 これもまた、多くの人を困らせる決断なのかもしれない。将来後悔しない日が来ないとも言い切れない。でも……どうしても。
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