魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
 鋼を叩き合わせたような反響音がして、それらが目の前ではじけ飛んだ。ペンダントから同心円状の光が発生しており、精霊様が私を守ってくれたのだと気付く。

「精霊まで手懐けているとは……。やはり無能に見えても、さすがはあのマルグリットの娘だった、といったところかしら」

 ヴェロニカの言葉に悔しそうな響きが混じるも、それはすぐに嘲笑うものに変わった。

「残念ながら、私の手ではどう頑張ろうにもあなたのことを始末できないみたいね。でもね……私、いい方法を思いついたの」
「お願い、もう馬鹿なことは止めて! どうして大勢の人を苦しめようとするの!?」

 精霊様の話を聞き、ベリカの抱いていた嫉妬は理解しているつもりだ。しかしそれを考えても、この巨大な帝国の何千万人といる人々を惨劇に巻き込もうとするなど、到底容認できるわけがない。

 しかし、ヴェロニカはそんな私の意見を根本から否定する。

「さあて、なぜだと思う? そもそも……あなたは自分の思うことがなぜ正しいと、なぜ信じられるのかしら?」
「それは……」
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