魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
「絶対に許しません」
「ちぇっ」

 長髪にこだわりのあるテレサにぎゅっと髪を掴まれて迫力の笑顔を浮かべられれば、さしものお兄様も引き下がるしかないようだ。そんないかにも兄妹らしいやり取りに、つい私は緩む唇を指で隠す。

「お……やっと笑ったな」
「うふふ、素敵です。お姉様!」
「そ、そうかしら」

 それをふたりは好意的に受け入れてくれて、さらに笑みは深くなる。
 自然に笑えたことなんて、ずいぶんとなかったのに。

 急激な自らの心の変化に気が気ではなくも、悪くない気分で美形兄妹に案内された私は、やがて城内でもひときわ大きな扉の前に引きだされた。

「……これって、もしかして」
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