魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
危険は承知の上。ヴェロニカがこうして自ら私を呼び寄せるということは、おそらくなんらかの手段で私を葬り去るための準備ができているということ。でも……私だって前までの私じゃない。
少しずつ回復してきた自前の魔力に、首元のペンダントに宿る三体の精霊たちの力。それらをうまく使えれば、父の身柄を助け出し……ヴェロニカを――闇の精霊を無力化することも、もしかしたら可能かもしれない。
「精霊様たち、どうか力をお貸しください……」
私がペンダントをそっと握り祈ると……それに呼応するように、白と黄色ふたつの花、そして間に宿る光の十字が強くきらめく。
テレサやクラウスさんには、すぐ戻るから心配しないようにと置手紙を置いてきた。その言葉を嘘にしないためにも、ヴェロニカの身体からなんとか闇の精霊を引き剥がす。そしていまだ割り切れない気持ちはあるものの……父を助けてボースウィン領に連れ帰り、なにがあったのか話を聞きだそう。
そんな決意を定め窓の外を眺めていると、やや離れた風景の奥に、私たちとすれ違うように進んでいく帝国軍旗が見えた。
「おっ、ありゃあボースウィン領への援軍部隊だな! あっちじゃしっかりベルージ王国のやつらを跳ね除けていると聞くし、応援まで間に合っちまえば、魔女に魔石をくれてやるようなもの! 戦の勝ちはもう決まったね!」
少しずつ回復してきた自前の魔力に、首元のペンダントに宿る三体の精霊たちの力。それらをうまく使えれば、父の身柄を助け出し……ヴェロニカを――闇の精霊を無力化することも、もしかしたら可能かもしれない。
「精霊様たち、どうか力をお貸しください……」
私がペンダントをそっと握り祈ると……それに呼応するように、白と黄色ふたつの花、そして間に宿る光の十字が強くきらめく。
テレサやクラウスさんには、すぐ戻るから心配しないようにと置手紙を置いてきた。その言葉を嘘にしないためにも、ヴェロニカの身体からなんとか闇の精霊を引き剥がす。そしていまだ割り切れない気持ちはあるものの……父を助けてボースウィン領に連れ帰り、なにがあったのか話を聞きだそう。
そんな決意を定め窓の外を眺めていると、やや離れた風景の奥に、私たちとすれ違うように進んでいく帝国軍旗が見えた。
「おっ、ありゃあボースウィン領への援軍部隊だな! あっちじゃしっかりベルージ王国のやつらを跳ね除けていると聞くし、応援まで間に合っちまえば、魔女に魔石をくれてやるようなもの! 戦の勝ちはもう決まったね!」