魔力を喪った賢者の娘は、とある帝国公爵の呪いを解いてあげたのです……が? ~傾く領地を立て直したら、彼が私に傾いてきた~
御者のおじさんが嬉しそうに声を上げ、私はほっと胸を撫で下ろす。後は私がヴェロニカを倒し、無事に戻る……それだけ。
ヴェロニカとの対峙はそう長くはかかるまい。必ず先に戻って皆を安心させ、帰ってくるスレイバート様を労ってあげよう――。
そんな強い成功のイメージを固めた私を乗せ、馬車は王都へと舞い戻ってゆく。
そしてそれから数日後――私は故郷である、王都の地をこの足で久しぶりに踏んだ……。
◆
到着すると、以前と変わらぬラッフェンハイム帝国の街並みを、私は物珍しそうな顔をして歩き出す。
というのも、実は私は十七年ほどもここに暮らしていたのに、あまりこの街を出歩いたことがないからだ。着けば少しは思い出すかと思っていたけれど、まるで初めて訪れた街であるかのように、通りの名前も、店もなにもかもに覚えがない。
仕方なく、通りすがる人々に訪ねながら、ヴェロニカに指定された精霊教会の大神殿の場所を探す。もちろん、私の名を知る人など誰もいない。綺麗な街だけれど、どこか人々の表情がよそよそしく感じてしまうのは……私を温かに迎えてくれたあのボースウィン領の人々に慣れきってしまったせいなのか。
ヴェロニカとの対峙はそう長くはかかるまい。必ず先に戻って皆を安心させ、帰ってくるスレイバート様を労ってあげよう――。
そんな強い成功のイメージを固めた私を乗せ、馬車は王都へと舞い戻ってゆく。
そしてそれから数日後――私は故郷である、王都の地をこの足で久しぶりに踏んだ……。
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到着すると、以前と変わらぬラッフェンハイム帝国の街並みを、私は物珍しそうな顔をして歩き出す。
というのも、実は私は十七年ほどもここに暮らしていたのに、あまりこの街を出歩いたことがないからだ。着けば少しは思い出すかと思っていたけれど、まるで初めて訪れた街であるかのように、通りの名前も、店もなにもかもに覚えがない。
仕方なく、通りすがる人々に訪ねながら、ヴェロニカに指定された精霊教会の大神殿の場所を探す。もちろん、私の名を知る人など誰もいない。綺麗な街だけれど、どこか人々の表情がよそよそしく感じてしまうのは……私を温かに迎えてくれたあのボースウィン領の人々に慣れきってしまったせいなのか。