明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
(そりゃ外を歩いていたからかもしれないけど……)
今日一日、桐吾は澪のサポートに徹していたように思えた。それが澪には引っかかる。
(私だって桐吾さんのためになりたいし、桐吾さんを守ってあげられたらいいのに)
そう考えたが、今のところどうすればいいのかわからなかった。ふるさとの山や治水についての伝承を教えることはできたけど。
「ねえ桐吾さん……今日見て回ったこと、お仕事の役に立つ……?」
「ああ、もちろん」
おそるおそる訊いてみたら桐吾からは明快な肯定が返ってきた。
澪の知見は実地のものだ。地図を見ても特定できなかった地すべりの場所だとかを案内して回った。その記録を桐吾は書きとめてある。
「江戸期のことはなかなか調べにくいんだ。代官や寺に資料がバラけているし」
「ああ……」
「伐採で森が荒れ、山が崩れたとか……小規模なことは役場でも細かい履歴を把握していないかもしれない。開発計画と突き合わせてみよう」
一度崩れた山の地盤。その上に林が育っていても周辺地盤が脆弱になっている可能性はある。精密な調査が必要だ。
「あとは川だな。〈瀬〉と名がついているのは気になっていた」
桐吾が言及したのは「龍ヶ瀬」と呼ばれる淵のことだった。駒木野町の景勝地で、そこをリゾートの目玉として組み込んだ計画が立案されている。
だが「瀬」は水が早い。しかも氾濫した経歴があるのも普通だ。山間部の開発により水量や流速にどんな変化が出るか、慎重に検討すべきだと思った。
「今日はやっぱり澪に来てもらってよかった」
今日一日、桐吾は澪のサポートに徹していたように思えた。それが澪には引っかかる。
(私だって桐吾さんのためになりたいし、桐吾さんを守ってあげられたらいいのに)
そう考えたが、今のところどうすればいいのかわからなかった。ふるさとの山や治水についての伝承を教えることはできたけど。
「ねえ桐吾さん……今日見て回ったこと、お仕事の役に立つ……?」
「ああ、もちろん」
おそるおそる訊いてみたら桐吾からは明快な肯定が返ってきた。
澪の知見は実地のものだ。地図を見ても特定できなかった地すべりの場所だとかを案内して回った。その記録を桐吾は書きとめてある。
「江戸期のことはなかなか調べにくいんだ。代官や寺に資料がバラけているし」
「ああ……」
「伐採で森が荒れ、山が崩れたとか……小規模なことは役場でも細かい履歴を把握していないかもしれない。開発計画と突き合わせてみよう」
一度崩れた山の地盤。その上に林が育っていても周辺地盤が脆弱になっている可能性はある。精密な調査が必要だ。
「あとは川だな。〈瀬〉と名がついているのは気になっていた」
桐吾が言及したのは「龍ヶ瀬」と呼ばれる淵のことだった。駒木野町の景勝地で、そこをリゾートの目玉として組み込んだ計画が立案されている。
だが「瀬」は水が早い。しかも氾濫した経歴があるのも普通だ。山間部の開発により水量や流速にどんな変化が出るか、慎重に検討すべきだと思った。
「今日はやっぱり澪に来てもらってよかった」