明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「……いちおうリビングでは仕事の物が目につかないようにしていたんだが」

 彩のない私生活、せめて仕事とのメリハリをつけた方がいいかと思ってのことだった。

「かまわん。澪が目に入っていれば他に何があろうと気にならぬだろうが」
「お、おまえ何を勝手な」
「ちょっと白玉、神棚ってどういうことなの?」

 桐吾の焦りに気づかず、澪はしゃがみ込んだ。ついたての陰に神棚が置かれていたのだ。澪のあきれ声にもかかわらず白玉は余裕綽々。

「それか。壁にくっつけたいのだが、我ひとりではできぬゆえ帰りを待っておった」
「神棚だと? ……これ何を祀るんだ」
「何を? 猫神に決まっとろうが!」

 ドヤァ。
 ふんすと鼻息を荒くする白玉を桐吾はにらみつける。

「おまえ自身が祟り神の猫のくせに?」
「別によかろう、我ら猫たちの魂に幸あれじゃ!」

 朗々と宣言する白玉に桐吾は頭を抱えた。
 白玉は澪の飼い猫。家主の領域を荒らされても、「出ていけ」と怒鳴ることもできない。それを見透かされての乱暴狼藉だ。
 ニヤニヤする白玉と桐吾はひっそりにらみ合った。だがたぶん、猫の勝ち。

「しかし澪、今日の着物はまた愛らしいのう。写真は撮ったか?」
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