明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
墓石の後ろ。
ゆらりと消えそうなおもかげは、確かに桐吾に似ているかもしれない。よく見えないが、着物姿で快活な笑顔の男が澪をながめていた。
「――!」
息が止まりそうな桐吾の方へ、冬悟は視線を移す。桐吾の胸の中に奇妙な親近感があった。いきなり納得した。
(――俺の中に冬悟はいたんだ)
桐吾は冬悟その人ではない。だがきっと冬悟の魂のかけらは桐吾の中に受け継がれていて、それも含めて桐吾は桐吾になったのだろう。
だから澪に出会った時になんだか懐かしさをおぼえたし、手を差し伸べずにいられなかったし――愛した。
(そうか、冬悟――つまり俺との再会を果たしたから澪は体を取り戻したのか?)
愛した者たちと生き直すために。もう一度、愛するために。
桐吾と白玉と寄りそって、過去の哀しみを癒すために。
冬悟は桐吾に笑いかける。声が聞こえた気がした。
――――やっと幸せになれるな。澪を頼むよ。
そこで白玉は前足を離した。冬悟の姿がかき消える。
今のは幻なのだろうか。いや、白玉の神気がつないでくれた霊界の何かなのだと信じたかった。本物の冬悟の姿と意識なのだと。
桐吾の背がブル、とふるえた。冬の墓地の寒さではなく、別の何かで。
「冬悟――」
頼まれたことを思ってつぶやいた。
ゆらりと消えそうなおもかげは、確かに桐吾に似ているかもしれない。よく見えないが、着物姿で快活な笑顔の男が澪をながめていた。
「――!」
息が止まりそうな桐吾の方へ、冬悟は視線を移す。桐吾の胸の中に奇妙な親近感があった。いきなり納得した。
(――俺の中に冬悟はいたんだ)
桐吾は冬悟その人ではない。だがきっと冬悟の魂のかけらは桐吾の中に受け継がれていて、それも含めて桐吾は桐吾になったのだろう。
だから澪に出会った時になんだか懐かしさをおぼえたし、手を差し伸べずにいられなかったし――愛した。
(そうか、冬悟――つまり俺との再会を果たしたから澪は体を取り戻したのか?)
愛した者たちと生き直すために。もう一度、愛するために。
桐吾と白玉と寄りそって、過去の哀しみを癒すために。
冬悟は桐吾に笑いかける。声が聞こえた気がした。
――――やっと幸せになれるな。澪を頼むよ。
そこで白玉は前足を離した。冬悟の姿がかき消える。
今のは幻なのだろうか。いや、白玉の神気がつないでくれた霊界の何かなのだと信じたかった。本物の冬悟の姿と意識なのだと。
桐吾の背がブル、とふるえた。冬の墓地の寒さではなく、別の何かで。
「冬悟――」
頼まれたことを思ってつぶやいた。