明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
「仲良しなのね。年が少し離れているからかしら」
「……はい」

 困っているところにやっと桐吾が戻った。澪の視線がすがりつく。何があったかと思ったが、白玉は平然としていた。

「お義兄(にい)さん、僕のミルクちょうだい!」
「まあ士郎くん、しっかりしているのに飲み物はお子さまなのね。なんだか安心しましてよ」

 ミルクを選んだのは、本体が猫だから念のためだ。しかしちゃっかり「義兄(あに)」呼びされた上に「士郎くん」と言われているのを聞き、桐吾は察する。

(白玉は澪の弟設定で、名はシロウか)

 向日葵にカフェモカ、澪にキャラメルマキアートを渡し、桐吾も座った。自分の分はブレンド。

「いただきますわ」
「どうぞ」

 向日葵が優雅に手を伸ばし、白玉もカップに顔を寄せる。ホットミルクをふーふー吹くのは猫舌だから仕方なかった。
 桐吾が隣に来たことで澪も落ち着きを取り戻す。
 見回した公園内は鈴懸の大きな葉がハラハラと舞い、すっかり秋を深めていた。一角ではなごりの秋バラが明るい色を添えている。こんな場合でなければ澪は花をながめに行っただろう。

「――っ!」

 澪は差し出された飲み物を一口飲み、無言で叫んだ。

(あっま――――いっ!)

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