明治女子、現代で御曹司と契約結婚いたします
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「あの女は――いろいろ抱え込んでおるな」
夜、桐吾が帰宅した後に白玉はわざわざ人の姿をとった。
意味深な言い方をするわりに白い水干姿で床にごろごろしている。話したくて人間になってはみたが、今は猫としての行動を変える気がないようだった。
「それは高橋のことか」
ソファでくつろぐ桐吾は眉をひそめた。街でばったり会ったことは澪から今聞いた。一日何をしていたか報告してもらう時間は桐吾の楽しみでもあるのだ。ビジネス誌を読むフリをしながら、澪の声を聞き逃さないよう注意を向けている。
華蓮が有休なのは把握していたし、引っ越しを検討中だと匂わされていたから疑問に思わなかった。白玉は何をかぎつけたのか。
「ふふん。あの女からは陰謀の匂いがしたぞ」
「陰謀? 大げさだな」
「白玉、高橋さんからたくさん邪気を食べてたわね。ただお疲れなのかと思ってたけど違うの?」
ソファで桐吾と並んでいる澪は心配そうにした。華蓮は公園に案内してくれたし、別れる時にも帰り道がわかるか気づかってくれた。そんな善行により、澪の中では華蓮の良い人認定レベルがアップしている。なのに陰謀なんて言われると気が気でなかった。
「あれは澪のことを探りに来ておった」