双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
食事が終わり店を出て車に乗り込んでからも、勇信さんから私の聞きたい言葉を切り出してくることはなかった。
『家まで送る』それだけを言われ、車内には再び沈黙が落ちる。
待ってます、なんて……私から言えるはずもない。
彼の重荷に、負担にはなりたくない気持ちが大きい。それは、勇信さんが求めて初めて言える言葉だ。
災害派遣の話を打ち明けられてから、いろいろなことがぐるぐると頭の中を巡っている。
仕事だと、国からの命だとわかっていても、自分自身の気持ちだけを優先すれば行ってほしくはないし寂しい。
でも、そんなこと口が裂けても言えない。言うつもりもない。
流れる景色を見つめながら、大晦日の夕方、母に言われた言葉が耳の奥で蘇ってくる。
『あなたには、私と同じような思いをしてほしくないから』
思い出すだけで目に涙が浮かぶような辛い経験をした母の言葉は、私にとって非常に重たい。
姉と自分を育てていく中で、涙なんて見せたことがなかった母。
そんな母の唯一の涙は、愛する父を突然失った記憶にだけ浮かぶのだ。
そして私自身、生涯消えることのない父を失ったときの喪失感。また、あんな思いはしたくない。