双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


 これから自分はどうしたらいいのか、混乱しているのも手伝ってなにも解決策が浮かばない。

 なにも考えられないまま時間が経過し、気づけば外はすっかり日も暮れ、部屋の中も暗くなっていた。

 やっと床から立ち上がり、部屋の電気をつける。ふと、バッグの中でスマートフォンが振動している音がわずかに聞こえた。

 手に取った画面に表示されているのは姉の名前。それを見て、昼間メッセージの返信をしている途中だったのを思い出した。


「もしもし──」

《希穂? やだ、やっと出た! もう、心配させないでくれる?》


 姉は通じた途端に勢いよく話し出した。スマートフォンから飛び出してきそうな勢いで驚く。


《既読ついてるのに返信こないの珍しいから、夕方に試しに電話してみたら出ないし、何回もかけちゃったじゃん。こんなに応答ないとは》


 どうやらこの電話の前から何度も電話をくれていたらしい。

 あまりに呆然としていた時間が長すぎてバイブレーションにも気づかなかったようだ。


「ごめん……」

《いろいろあったあとだし、なんかあったのかと思って心配したわ。とりあえず出たから安心した》

「うん」

《で、大丈夫? 変わらずやってるの? なんか声に元気がないけど、疲れてるだけ?》


 質問をされても、考える力が働かずに普段のように会話についていけない。

 黙る私に、姉は《希穂? もしもーし》と応答を呼びかけた。


「お姉ちゃん。私……どうしたらいいのかわからない」

《え? なに、どういうこと? なんかあったの?》

「……妊娠、してるって言われた、病院で」


 数秒間の沈黙が流れたあと、姉の《嘘でしょ……》というひどく落ち着いた声が耳に届いた。

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