双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す
「ママー、これなにー?」
ベビーカーの前に回ると、海が慰霊碑を指さしていた。ふたりの目には巨大に映っているだろう慰霊碑。
「これはね、昔、ここで大きな地震があって、そのときに亡くなった人や動物に、天国で安らかに過ごしてくださいっていう、祈りが込められてるんだよ」
三歳の子たちにはまだ難しい話だと思う。
でも、不思議なことにふたりはじっと慰霊碑を見つめている。その様子を横目に、私も慰霊碑を見上げて手を合わせた。
お父さんは今、見てくれているだろうか。
本当はまだ元気でいてくれて、この子たちを抱き上げてほしかった。
「──ごめんね、じゃあ、行こっか」
「希穂……?」
ベビーカーを押そうとした、そんなときだった。
確かに聞こえた自分を呼ぶ声に振り返る。
え……?
ひとり佇む上背のある逞しい姿。目にした瞬間、心臓が止まるという感覚を現実的に味わったのかと思った。
「希穂……希穂だよな」
半信半疑が見え隠れする表情と、確信を持った声。
思考回路が停止して、彼の端整な顔から目が離せない。