双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


「勇信、さん……」


 数年ぶりの再会。それでも顔を忘れるはずもない。

 でも、どうしてこんな場所で偶然にも彼と会ってしまったのか。

 以前、同じ震災で私は父を、勇信さんはお母様を亡くされたと話した記憶が脳裏に蘇った。


「こんなところで……ずっと探してたんだ」


 ずっと探していた──かけられた言葉に彼から目が離せなくなる。

 私たちの目の前まできた勇信さんは、ベビーカーに乗るふたりに目を向ける。


「この子たちは……?」

「あ……」


 もう会うこともないと思っていた勇信さんを前に口ごもる。

 この子たちが彼の子だという事実は伝えられないと咄嗟に思った。


「この子たちは……あなたと、別れたあとに授かって……」


 予定も用意もしていなかった嘘をつくのは容易くない。なにかひとつボロが出ればあっという間にバレてしまうような危うさだ。

 人にも自分自身にも、嘘はつかないようにして生きてきた。嘘は苦しくなるし、ときに人を傷つける。そして、重ねていく羽目にもなるから。


「別れたあとって……良い人にでも出会って、結婚したということ?」

「結婚というか……はい、まぁ」


 ダメだ。この場で相手が腑に落ちてくれるようないい作り話が思いつかないし出てこない。

 蒸し暑さから額や鼻の下にじんわり汗が滲んできて、タオルハンカチをバッグから出しておさえた。

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