双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


 約束の九時には実家の前に勇信さんの車が到着した。

 ほとんどの荷物は事前に業者が東京に運び入れてくれていて、今日は普段とほとんど変わらない手荷物だけ。

 インターフォンが鳴ると、子どもたちが「きたー!」と玄関に出ていく。

 ドアを開けてあげると、靴を履いたふたりは「おじさん!」と勇信さんを出迎えた。

「おはよう。支度はできたか?」

 勇信さんの問いかけにふたりは「できてるー!」と元気よく答える。

 子どもたちはシチュエーション的にこの間のように遊びにいくと思っている様子。引越しについては話したけれど、生まれて此の方ここで育ってどこか違う場所で住むというイメージが湧かないのだろう。


「陸、海、おばあちゃんに挨拶をして」


 勇信さんに促され、ふたりは口々に「ばーば、いってきまーす!」と言う。

 やっぱりわかっていない様子で、勇信さんと顔を見合わせ笑い合った。


「お義母さん、今日はありがとうございます」

「いえいえ、お迎えまでありがとうございます。これ、持っていって」


 玄関先に出てきた母に勇信さんが挨拶する。

 母のほうはあまり重苦しい空気にしたくないのだろう。普段通りの様子で地元のお菓子と頂き物の野菜などの手見上げを手渡した。

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