双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


 八月中旬。世間の盆休みが明けた週の週末金曜日。


「冴島ちゃん、進んでないだろ。それ何杯目?」

「あ、一杯目です」

「次頼むとき言って」


 長谷川さんがドリンクメニューを差し出す。「ありがとうございます」と受け取ったものの、まだ一杯目の生ビールがグラス半分残っている。

 今日は、八月に異動してきた私の歓迎会を課の人たちが企画してくれ飲み会に来ている。

 なるべく課の人間が揃う日で予定を組んでくれたようで、今日は設備管理業務課の八人での会だ。

 お酒が嫌いなわけではないけれど、自分ひとりでは基本的に飲むことはない。

 家飲みもしないし、たまにこうして会社の飲み会や友人との外食などで少し飲む程度だ。

 乾杯は流れで生ビールをオーダーしたけれど、基本的にあまりビールは飲まない。

 その日の調子でぺろりと飲み干せてしまう日もあれば、今日みたいになかなか進まない日もあったりとむらがある。

 次はなにを頼もうかな……。

 まだ飲み終わりもしないくせにドリンクメニューを眺め、パイナップルサワーか、梅酒ソーダにしようと決める。

 池袋駅からほど近い創作系居酒屋は、華金だからか席はほぼ満席。

 騒がしい店内にひと際キャーキャーという女性たちの声が耳に届いて入り口に目を向けると、着ている服がかなり濡れてしまっている三人の女性の姿があった。

 口々に「雨やばーい!」と言っている。

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