双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


 え、待って、この方……。


 あんなときでも、ずいぶん端整な顔立ちの人だなと印象深かった。

 アーモンド型の切れ長の目と、綺麗な鋭角の眉。加えて細く高い鼻梁に薄い唇という整った端麗な顔に、迷彩の作業服の姿が妙に印象的だった。


「あれ……どこかで」


 相手のほうも私と同じような反応を見せてきて、やっぱりそうだと確信を得た。


「半年ほど前、夜、被災地で助けてくださった……?」

「ああ、やっぱり。あのときの、ビジネスホテルの」


 答え合わせに丸がつき、改めて驚きで目が丸くなる。あのときの、砂羽さんという陸自の方だ。


「すごい、偶然……」

「東京に帰ると言ってたの、覚えてます。まさか、こんなところでまた会うとは」


 足元を濡らされながらこんな場所で立ち話が始まる。

 そうこうしているうち、親子を連れていった男性が階段を駆け下りてきた。


「砂羽一尉! 自分、下のほうも見てきます」

「頼む。これだけの雨じゃ、もしかしたら改札が停止している可能性もある」

「わかりました!」


 会話のキャッチボールを聞くかぎり、彼の部下なのかもしれない。


「これから地下鉄を?」

「はい、今から帰るところだったんですけど……改札が使えないと、ここから乗れないってことですよね?」

「過去にも、こういう浸水で電気系の故障が起きて駅が閉鎖になったことがあって、もしかしたらと」


 相変わらず水が流れ込む階段の下から、再び砂羽さんを呼ぶ声が聞こえた。

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