双子パパになった不屈の自衛官は飽くなき愛で純真ママを取り戻す


「ダメです! 電気系の故障が生じていると」


 嫌な予感は的中。ここを降りて行っても電車には乗れないことがわかり愕然とする。


「こうなると、どこの地下鉄もダメということになりますか?」

「いや、そういうわけではないです。隣の駅では通常だったり、こういう雨も広範囲じゃない場合のほうがほとんだだから」


 そう言った砂羽さんは、下にいる連れの人に向かって「彼女を使える地下鉄まで送る」と伝える。そして私に「行きましょう」と未だ滝のように水が流れていく階段を上がっていく。


「あ、はい」


 しかし、やっぱり打ち付けた膝が痛む。でも、気づかれないように足に踏ん張りをきかせて一歩ずつ階段を上っていく。


「もしかして、脚が痛む?」

「あ……大丈夫です」


 咄嗟に嘘が口から出てきてけれど、不自然な動きを見れば痛んでいるのは一目瞭然なのかもしれない。


「膝をついた際に、ちょっと打っただけなので、少しすれば治ってくるかと」

「でも、今は痛むんだから」


 砂羽さんは私に向かって手を差し伸べる。戸惑っているうち、彼が私の腕を掴んで階段を上がり始めた。


「すみません……」


 自分でも手すりに掴まりながら、砂羽さんを頼って階段を上っていく。

 雨はさっき歓迎会の店を出たときよりは弱まっていて、それだけで少しホッとした。

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